結に関わる人々
結にはいろいろな役割があります。村人はひとりひとり与えられた役割をこなし、一つの屋根を葺き上げていきます。










※役割名をタップすると詳細がご覧いただけます。
結帳

結帳

御母衣遠山家の結帳(寛政4年1792)
結の屋根葺きの際には誰に手伝いに来てもらったのか記録を残す必要があります。記録を残して、手伝ってくれた家が屋根葺きをする際には同じように手伝いにいきます。これを「結返し」と言います。「結返し」をしっかりできるように各家々では屋根葺きの際に「結帳」と呼ぶ帳面をつけて管理してきました。「結帳」には屋根葺きを手伝いにきた人々の名前が記されています。
また、その他に茅や縄などの資材の記載も見られます。特に茅は積極的に人に貸すことで、自分が刈り取った茅を長期保管するリスクを回避してきたことがうかがえます。自分の家の屋根葺きに使用する茅を毎年刈り取って貯めていくわけですが、その保管は屋外で雨風にさらされてしまうことになります。そのため来年屋根を葺く家に茅を貸すことで自分が屋根を葺く際にその茅を返してもらって新鮮な茅だけで葺くことが可能となるわけです。
白川村で確認できる最も古い「結帳」は寛政4年(1792)の御母衣遠山家の「蔵の屋根葺き覚帳」です。このことから少なくとも230年以上前から結によって合掌造りの屋根が守られてきたことが分かります。

出役した人々の名前が記されています。

借りた茅の記録