大白川温泉(おおしらかわおんせん)

 大白川温泉は、白水滝のさらに奥、湯谷沿いに湧く天然温泉です。この温泉の歴史は古く、中世に遡ります。この温泉にまつわる最も古い記録に照蓮寺文書の中の永正11(1514)年「内島雅氏書状」(現勝曼寺所蔵)があります。この書状は当時白川郷を統治していた帰雲城主内島雅氏が、大白川湯の禁止事項の解除を認め照蓮寺に宛てた書状です。古来より大白川は修験者の行場として、女人禁制の聖域であり、他所の者の同温泉への入湯を禁じていました。その解除を照蓮寺が求めて行動したことに対する認可の文書と考えられています。この文書の存在から中世以前より大白川温泉が湯治場として親しまれてきたことがうかがえます。

 この温泉は白山の火山活動がもたらした恩恵であり、地中深くで温められた地下水が湧出するものです。温泉の存在は、白山が単なる火山ではなく、人々に恵みを与える山であることを象徴しています。

内島雅氏書状(1514・勝曼寺所蔵)
帰雲城主内島雅氏が照蓮寺に宛てた書状。大白河湯之事と記述がみられる。
大白川温泉の湯の小屋
大白川温泉の湯の小屋

 近代には大白川ダム建設に伴い道路が整備され、アクセスが向上したことで観光資源としての役割も増しました。昭和期には宿泊施設も整えられ、登山客や観光客が多く訪れるようになりました。大白川温泉は、滝や森、登拝道と一体となった白山文化の重要な要素です。自然の力が生んだ湯は、修験者の祈りと里人の暮らしを結びつけ、白山の恵みを象徴する存在として今日まで受け継がれています。

大白川温泉の写真
写真:細江光洋撮影(岐阜県美術館所蔵)
大白川温泉の写真
写真:細江光洋撮影(岐阜県美術館所蔵)