白山(はくさん)
白山は富士山・立山と並んで「日本三名山」に数えられる霊峰で、標高2,702メートルの御前峰を主峰とし、大汝峰、剣ヶ峰を合わせた白山三峰を中心に広がる活火山です。岐阜県大野郡白川村と石川県白山市の県境にそびえ、山全体は国立公園に指定され、豊かな自然を今に伝えています。一年の半分以上は雪に覆われ、その姿から「越の白嶺(こしのしらね)」とも呼ばれ、古代から人々に親しまれてきました。
白山は約40万年前以降の度重なる噴火によって現在の山体が形づくられました。白山火山は形成年代の異なる3つの火山体、加賀室火山(約43~25万年前)、古白山火山(約13万~6万年前)、および新白山火山(約5万年前~現在)から主に構成されます。これら火山による火砕流や溶岩流が谷を埋め、隆起と浸食を繰り返した結果、御前峰を中心とする山容が形成されました。白山の山頂に見られる火口湖や岩峰群は、今もその火山史を伝える痕跡です。御前峰(2,702m)、剣ヶ峰(2,677m)、大汝峰(2,684m)の三峰は白山火山の中で最も新しい新白山火山により形成されました。
約2200年前の噴火では「白水滝溶岩流」と呼ばれる大規模な溶岩流が流れ出し、大白川上流に断崖が形成されました。この断崖を源に、雪解け水が一気に落下して生まれたのが「白水滝」です。白山の噴火はまた、肥沃な火山性土壌をもたらし、その後の豊かなブナ林や広葉樹林の成立につながりました。大白川の森や渓谷の景観は、こうした火山活動と水の循環が生み出した自然の産物です。
白山に降り積もった雪や雨は長い年月をかけて山を削り、九頭竜川・手取川・長良川・庄川など四方の川に水を満たしてきました。その清らかな水は山麓の田畑を潤し、川下に暮らす人々の生活を支えてきました。白山はまさに水分の霊山として古代より崇められてきました。自然の循環の中で地域社会の存立に深く関わってきたといえます。
こうした歴史を経て、白山は単なる地形としての山ではなく、滝や森を生み出した源であり、人々の暮らしと切り離せない存在となっています。春には高山植物が咲き誇り、夏には涼やかな森と渓流が広がり、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々に変化するその姿は訪れる人々を魅了し続けています。

左から御前峰、剣ヶ峰、大汝峰